笹原川千本桜目次
笹原川千本桜について
寒い日が続く東北地方の人々にとって桜は待ちに待ったあたたかな春を感じることができる特別な存在でもあります。
日本三大桜に数えられる「三春の滝桜」と呼ばれる紅枝垂れ桜や会津若松市の鶴ヶ城公園の桜などは、全国的にもよく知られている福島県の桜の風景です。
福島には美しい桜を楽しむことができるスポットが他にもたくさんあります。
「笹原川千本桜」も福島県郡山市にある桜の名所の一つです。
「笹原川千本桜」は福島県郡山市三穂田町下守屋地区笹原川沿いにあります。
笹原川は郡山市にある高旗山を水源としており、須賀川市や郡山市三穂田町付近を流れて一級河川である阿武隈(あぶくま)川へと合流します。
郡山市を流れる笹原川沿いに咲くソメイヨシノ(染井吉野)を中心とした桜が、約2キロにわたり1000本もの桜並木となって続いているのが「笹原川千本桜」です。
笹原川は昔から洪水の被害がたびたびあり、その洪水被害を防ぐために昭和30年代に河川の改修工事が始まりました。
そして、整備された川の堤に地元の住民が桜の木を植樹したのが笹原川千本桜の始まりだとされています。
笹原川の川幅が比較的狭く、対岸に咲いている桜も合わせて見ることができるので、より華やかでダイナミックな桜の風景がずっと続いているのが大きな魅力です。
笹原川はその昔、「音無川」という名前で呼ばれていました。
また川には「耳詰(ささやき)橋」と呼ばれる橋があり、郡山市に古くから伝わる「采女(うねめ)伝説」に登場すると言われています。
その「采女(うねめ)伝説」は現在の郡山市にあたる「安積の里」と呼ばれる地域に伝わる古いお話です。
その昔、天候不順で不作が続くにも関わらず、奈良の都からやってきた葛城王が年貢の免除を許さなかったと言います。
そこで安積の里では、この王をもてなすために宴(うたげ)を開きました。
しかし、王のご機嫌が悪いため、この伝説のヒロインである「春姫」がある句を詠んだとされています。
「安積山 影さえ見ゆる山の井の あさき心をわが思わなくに」
安積山のふもとにある山の井の清水は安積山の影を水面に映し、浅い井戸のように見えますが、実は深い清水。
それと同じで私たちが王をお慕いする気持ちは深いものです。
どうぞ機嫌なおしてくれませんか。という意味のその句により、王は機嫌を直したといいます。
そして、春姫を帝の采女として差し出すことを条件に、貢物を3年間免除すると言いました。
しかし、春姫には、次郎という婚約者がいたのです。それでも悲しみをこらえて春姫は都へ向かいました。
王の寵愛を受けた春姫でしたが、やはり次郎が恋しくなり、愛する次郎の待つ安積の里へ戻ってきてしまいます。
しかし、戻った時すでに次郎が亡くなっており、そのあとを追って春姫も山の井の清水に身を投げて死んでしまったと伝えられています。
この伝説に登場する春姫と次郎がささやきあって別れを惜しんだとされるのが、笹原川にかかる「耳詰(ささやき)橋」です。
現在は、この橋の付近には春姫の歌碑があります。
また、この「采女伝説」をテーマにした「うねめまつり」が地元では毎年開催されています。
笹原川に咲く桜並木の下を歩きながらこの切ない伝説について思いをはせてみるのもよいのではないでしょうか。
笹原川の流れにそってたくさんの桜が彩る郡山の桜の名所である「笹原川千本桜」。
2キロにわたって続く桜並木の途中には、趣ある水車小屋や、ゆっくり座って桜鑑賞ができるベンチもいくつかあります。
笹原川の明神橋を中心に上流から下流にかけてソメイヨシノを中心にたくさんの桜が植えられています。
ソメイヨシノは2月以降、日々の最高気温の積算が600度を超えると咲くと言われています。
開花後は、地域や、その年によって差があるものの、笹原川千本桜も開花して5日~1週間ほどで例年満開になることが多いです。
夜はライトアップされる期間もあります。
ほのかな灯りに照らされた桜は美しく、昼間の桜風景とはまた違った夜桜の景色を楽しむことができます。
桜の見ごろは、㋃上旬から中旬にかけてで、4月中旬には「笹原川千本桜まつり」が開催され、毎年多くの人が訪れます。
また、「笹原川千本桜」は、平成8年には、公益財団法人日本さくらの会の桜功労賞も受賞しています。
遊歩道も整備されており、桜の木の下をのんびりとお散歩するのには最高のロケーションです。
笹原川千本桜は約1000本もの桜並木が続き、壮観な桜の風景を見ることができるお花見スポットですが、福島県内の他の有名な桜スポットに比べればそこまで混雑せず、また人も密集することがあまりないので満開時期でも比較的のんびりとお花見を楽しむことができるでしょう。
きれいな満開の桜を見たいけれども人混みはちょっと避けたい・・と思っている人にはピッタリのお花見スポットです。
どこまでも続くきれいな桜の並木は一見の価値ありと言えます。きっと思い出に残る桜の風景になるはずです。
笹原川千本桜の見どころ
笹原川千本桜の見どころは、何といっても笹原川沿いにずっと続く1000本余りの美しいソメイヨシノの桜です。
毎年、笹原川千本桜の見ごろは4月上旬から4月中旬頃となっています。
笹原川にかかっている明神橋付近約2kmに渡って続く華やかな桜並木は見ごたえ十分です。
わざわざ訪れる価値があると言えるでしょう。
笹原川には明神橋以外にも、いくつか橋がかかっており、「耳詰(ささやき)橋」とよばれる伝説が残る橋や水車小屋があります。
桜見物をしながら、そういった場所も訪れてみるのもよいでしょう。夜には水車小屋を中心にボンボリの灯りがともされ、美しい夜桜見物も堪能できます。
河川の改修工事によって整備された堤防に地元の人たちが長い年月をかけて大切に育ててきた笹原川千本桜は、地元の人たちのあたたかさを感じます。
桜が満開の時期は、桜以外の花々も咲き乱れ、とても美しい春の風景がひろがります。桜が美しいのはもちろんですが、広大な山々を背景に桜を見ることができるので、とても素晴らしい風景にきっと癒されるでしょう。きれいな桜風景を撮影するフォトスポットとしてもおすすめです。安積町の県道17号から安積町成田までの笹原川両岸にも桜の木が植えられています。
県林業研究センターには笹原川ふれあい色彩桜と言われる桜の小径があって、白や濃紅色のめずらしい桜の花を見ることもできます。
笹原川千本桜の主な品種はソメイヨシノですが、それ以外にも枝垂れ桜や寒緋桜、御衣桜などが植えられており、様々な桜の花を楽しむことができます。
笹原川千本桜が咲く川沿いの道はきれいに整備されており、途中にはトイレもあるので安心して桜見物が楽しめます。
「笹原川千本桜まつり」は桜がちょうど満開の時期である4月の第3土曜日に開催されることが多いです。
まつりの開催期間には、少しですが出店もあり、お花見まつりらしいにぎやかな雰囲気も楽しめます。
笹原川千本桜まつりは、10時より親水公園前で開会式が始まったあと、静御前(道中再現)が地元の三穂田町の小中学生によって披露されます。
それ以外にも、 安積守屋甚句と呼ばれる太鼓演奏や、ミニコンサート、よさこいなどが披露され、地元の人や観光客が多く訪れてとてもにぎやかな一日となります。
夜は桜もライトアップされるので、昼間とは違う雰囲気で桜を楽しむことができます。
デートコースにもピッタリです。
水辺を彩る桜の名所として地元の人からも観光客からも愛される笹原川千本桜の桜は毎年見に訪れる人も多く、郡山を代表するお花見スポットだと言えます。
笹原川千本桜の周辺
笹原川千本桜の近くには有名な酒蔵があることで知られています。
「笹の川酒造・安積蒸溜所」は1765年創業の老舗酒蔵です。
「笹の川」という銘柄の日本酒でも知られています。日本酒だけでなく、焼酎を製造している他、東北唯一の地ウイスキーの蒸溜所である「安積蒸溜所」も併設しています。
2022年には「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA) 2022 ブレンデッドモルトウイスキー部門 世界最高賞」を受賞しています。
安積疎水と呼ばれる地元の水の恵みとともに発展してきた酒蔵のお酒を試飲して、購入することが可能です。
笹原川千本桜の見物と合わせて訪れてみるのもよいでしょう。
【笹の川酒造・安積蒸溜所】
福島県郡山市笹川1 丁目178
電話番号:024-945-0261
メールアドレス:main@sasanokawa.co.jp
笹原川千本桜を見物に行く際は、郡山駅周辺のホテルを利用するのもよいですが、福島県郡山の奥座敷とも言われる名湯・磐梯熱海温泉を訪れて宿泊するのもおすすめです。
奥州三名湯とも言われるほど、歴史があり、開湯800年余りを誇る温泉です。
美人を作る名湯として親しまれている磐梯熱海温泉。効能ある温泉地には数多くの旅館やホテルが立ち並びます。
笹原川千本桜の見物と合わせて訪れるのもおすすめです。
【磐梯熱海(ばんだいあたみ)温泉観光協会】
福島県郡山市熱海町熱海4丁目406
電話番号:024-984-2625
FAX番号:024-984-3056
アクセス方法
「笹原川千本桜」の見物には車、公共交通機関(電車・バス)、遠方からは飛行機などを利用して行くことができます。
「笹原川千本桜」 所在地:〒963-0124 福島県郡山市三穂田町下守屋前田31
(車を利用する場合)
首都圏方面から「笹原川千本桜」を訪れる場合は、東北自動車道を使い、「郡山南インターチェンジ」で降りた後、県道47号を下守屋方面へ約8km走ると到着します。郡山南インターチェンジからは15分/郡山東インターチェンジからは35分
駐車場は無料です。(駐車可能台数:約70台)
(電車・バスを利用する場合)
東京駅から郡山駅までは新幹線で約1時間20分程度です。
それ以外の地域から来る場合は東北・秋田・山形新幹線、JR東北本線、磐越東西線、水郡線それぞれを使って郡山駅で下車します。
郡山駅からは、福島交通バス長沼行きに乗り、下守屋下車後(約45分)、そこから笹原川千本桜までは徒歩すぐ到着となります。
(飛行機を利用する場合)
札幌、大阪(伊丹)からは福島への直行便があります。詳細は福島空港HPで確認をしてください。
福島空港https://fks-ab.co.jp/
福島空港からはJR郡山駅までリムジンバスが出ています。(約40分)